5.1昼間の薬

眠気が出ない薬剤で

日中の薬剤は、催眠作用が少ないことが必要です。
 
リスペリドンはこんな薬でも触れたように、単に「せん妄の薬」として昼夜問わずに使ってしまうと、眠気から意識低下→せん妄悪化(状況がよく分からなくなって不安増強)してしまいます。これは、クエチアピン(セロクエル)でも同様の問題があります。
 
緩和領域でもせん妄・制吐に使用されるオランザピン(ジプレキサ)は、1日1回で効果があり、切れ味が良いのも特徴ですが、強いH1作用があり、とくに体調の低下した方では持ち越し効果が強く、逆にせん妄が悪化してしまうよう場合もあります。


入院・高齢者を対象とするなら、なるべく作用が穏やかな薬剤を、継ぎ足しながら使うというのが良いでしょう。
 
個別の薬剤はそれぞれ見ていきます。

ポイント 日中と夜間は別の作用をもった薬剤を使い分けることが何よりも大切

 


最終更新日2016.3.15



参考文献(薬剤共通)
Stephen M. Stahl著 仙波純一,他監訳.ストール精神薬理学エセンシャルズ 第4版、メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2015
神庭重信監修. カプラン精神科薬物ハンドブック第5版、メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2015
長嶺敬彦. 予測して防ぐ抗精神病薬の「身体副作用」、医学書院, 2009
上村恵一 他編.がん患者の精神症状はこう見る抗精神病薬はこう使う:じほう, 2015
David M. Gardner, Ross J..Baldessarini, Paul Waraich. Modern antipsychotic drugs: a critical overview. CMAJ. 2005;172; 13:1703-11.
和田 健. せん妄の臨床 リアルワールドプラクティス. 新興医学出版社, 東京, 2012