2行動・結果に焦点

対策を始めるときに原則より重視するポイント

対策を進める上では、実際の場面・行動に合致して結果を重視することが有効です。

なぜ「逆説!せん妄対策の第一歩は夜寝てもらう」なのか

あるべき"治療"の原則は、診断をした上で、不眠なら不眠の治療、せん妄ならその治療になります。当然のことです。しかし、実際の場面に合致するかを考えてみましょう。ポイントは、一般の診療場面においてせん妄は「夜寝ない」ことで気づかれることが多い、です

仮にDRSなど診断ツールでせん妄ではなく不眠と診断したとしましょう。不眠時の指示は多くの現場でBZ作動薬です。しかし入院患者さんは、それだけで大半がせん妄予備軍です。すると、予備軍にBZ作動薬という最後の一押しをしてしまい、せん妄になってしまいます。
 
せん妄と診断した場合、ハロペリドールやリスペリドンが使われることが多いでしょう。しかし、元々「夜寝ない」には効きません。すると不眠の治療が行われる...メビウスの環に陥ってしまいます。
 
特に余裕のない夜間、慣れない診断をやれと"北風で強制"しても、メリットが感じにくい→そのような対策は浸透しないので、うまくいかないことにつながります。

では、効果的な作戦は?

うまくいかなかった原因は、「夜寝ない」という問題に対して「寝られる」という結果を提示できなかったことです。せん妄であっても単なる不眠であっても、現場から求められる結果は同じです。入院患者さんが安全に寝られる治療があり、両者で治療法が変わらなければ、診断を求める意義も乏しくなります。
 
ですから、診断も必要ない"楽チンな太陽作戦"である せん妄対策の第一歩は「夜寝てもらう」が、対策が浸透していくために有効なアプローチなのです。
 
もちろん質の高いせん妄治療にはもっと次の次元が必要ですが、現場ではこれまでもなんとか対応してきています。特に「昼間はなんとかなる、なんとかしてきたはず」ですので、まずは一番困る夜をターゲットにするのが良いと考えます。
 

ポイント 「現場における行動を反映している、現場が求める結果がすぐに実感できる(成功体験)」がまずは必要

 

 
最終更新日2016.3.11