せん妄の"正しい"治療

標準的なせん妄治療をまず見てみよう

ハロペリドール・リスペリドン・クエチアピン、そして指示

正しい薬物療法

 
せん妄の薬物療法について、はっきりと有効性が確立しているものは実はありません。
せん妄は複雑な原因による症状なので、一つの薬で何とかしようというのも無理があります。このあたりが、「せん妄の治療は引き算」と言われる理由です。余計な薬で症状を悪化させないように、という意味も込められています。
 
そのような中でも、精神科専門家による治療薬の推奨は、クエチアピン(セロクエル)、リスペリドン(リスパダール)、ハロペリドール(セレネース)に概ね集約されています。
それぞれに薬については別の項目で解説しています(読む前に「5つの作用」も目を通してください)。
 
この薬剤で興奮が収まらずに対応が難しいとき、特に注射では睡眠薬であるベンゾジアゼピン系薬剤の、ミダゾラム(ドルミカム)やフルニトラゼパム(サイレース・ロヒプノール)で鎮静をかける、というのが一般的です。
 
おおよそどのような教科書にも、これらが治療法として書いてあります。現在の標準的な治療と言ってよいでしょう。
 
 

一般的な指示

 
一般的な指示

指示としては、このようになるのではないでしょうか。おそらくよく目にする指示だと思います。飲めないときの指示や、追加指示などが書かれているのは、とてもよいのではないかと思います。
 
しかし...よく目にする指示(あるいは普段出されている指示)でうまくいかないと感じている人が多くないでしょうか?それがフールプルーフせん妄対策を作ることになったきっかけです。
 

最終更新日2016.2.17 


 


 参考書籍
和田 健. せん妄の臨床 リアルワールドプラクティス. 新興医学出版社, 東京, 2012
日本総合病院精神医学会薬物療法小検討委員会. せん妄の治療指針.星和書店,  2005
Valerie Page著 鶴田良介監訳:ICUのせん妄 Kinpodo, 2013
上村恵一 他編.がん患者の精神症状はこう見る抗精神病薬はこう使う:じほう, 2015