1.3DSTをつかってみよう

教育・学習にも便利です

前項では、SQiDの一つの質問でOK!、とは書きましたが、それでも「これだけで良いの?」という気持ちがあって当然です。そのほかにスクリーニング・診断ツールはありますが、DST(Delirium Screening Tool)1)は日本で開発され、おおむね観察だけでも評価できるので、簡便で有用です。

■DSTの特徴

  DSTはA項目、B項目、C項目に分かれていて、それぞれ全項目を評価していきます。

いろいろな症状が具体的に記載されています。A項目のいずれかに該当したら、B項目に進みます。
 

B項目のいずれかに該当したら、C項目に進みます。
 

C項目はせん妄で大切な、急な発症かどうかや症状の変動をみています。
A、B、Cいずれも1項目以上該当したら、せん妄の可能性が高くなります。
 
DSTでせん妄に該当した場合、感度(せん妄の人をせん妄であると診断できる確率)は98%、特異度(せん妄と診断した人が本当にせん妄である確率)は76%とされています。
見落としが少ないので、せん妄になれていない一般医療者にとても有用です。特異度はやや下がりますが、フールプルーフせん妄対策は仮に単なる不眠や認知症でも問題が少ない対策になってますから、ぜひDSTを活用してみてください。
 
資料集の各ツールにも、DSTを掲載してあります。
 

DSTは簡単で、せん妄の見逃しが少ないツールです!

 
 


最終更新日2016.11.24



参考文献
1) 町田いづみほか:せん妄スクリーニング・ツール(DST)の作成.総合病院精神医学,152):150-1552003.