1.4他のツール

様々な特性があります

このホームページでは、詳細な評価ツールなどは一般病棟にはそれほど必要性がないとの立場で記載していますが、ご参考までにいくつかの診断・評価ツールをご紹介していきます。
 

さまざまなせん妄評価ツール
  目的 項目数 特徴
CAM (スクリーニング)・診断 4 確立しているが、評価者のトレーニングが必要
CAM-ICU (スクリーニング)・診断 4 ICU版のCAM。信頼性が高いが同様に評価者トレーニングが必要
MDAS  重症度 10 診断には不向きだが、重症度の評価として使われ、日本語版もある
DSR-98-TR 診断・重症度 16

最も信頼性の高いツール。研究でも普及しているが、精神科的な視点がないと評価が難しい面がある。

ニーチャム混乱スケール 診断 17 看護師によるスクリーニングツール。研究としても利用されるが、重症度がせん妄の重症度を表していないという指摘がある。
DST スクリーニング 11  日本で開発され、感度が高い(見逃しが少ない)が、特異度がやや低い(せん妄ではなくてもせん妄としてしまう)
SQiD スクリーニング 1 日本語版は確率してないが、簡便なスクリーニング

 これら、せん妄ツールはたくさんありますが、なかなか広く一般診療で有用で、重症度・研究までカバーできるというものはありません。せん妄の評価は精神症状の評価になるため、確実性を優先すると精神科の素養が必要になってくるのはやむを得ない面があります。
 
フールプルーフせん妄対策では、せん妄の可能性に気がついて行動を開始することにこそ大きな意味があると考え、SQiDによるスクリーニング、もう一歩踏み込む場合にはDSTをお勧めしています。
 
なお、せん妄対策を勧める側としては、ある程度の評価ができたほうが説得力をもたせることができます。せん妄かどうか現場の医師/看護師が迷うような場合、私はMDASを使用し、重症度を伝えるようにしています。MDASはインターネットでダウンロードできますので、ご参考にしていただければと思います。
 
日本語版MDAS(Uminによる紹介。リンクあり)


最終更新日2017.1.31



参考文献
1) 町田いづみほか:せん妄スクリーニング・ツール(DST)の作成.総合病院精神医学,152):150-1552003.