4.5とりあえずこれも使う

ラメルテオン(ロゼレム)

 

ラメルテオン(ロゼレム)は、最近よく見聞きする薬剤だと思いますが、一方で「これが効く!」という実感もないのではないでしょうか。

ラメルテオンはどんな薬?

メラトニン受容体(日内リズムの中枢にあります)を刺激して、リズムを調整する薬剤です。脳に「夜ですよ~」と教える薬、といえるでしょう。教えるだけなので、直接脳機能を低下させる催眠作用はありません。そのため「飲んだら効く」という実感は得にくいと思います。時差ボケの解消にも使える薬剤です。
 
せん妄では日内リズムがほとんどの方で異常を来します。つまり、”時差ボケ”に効く薬は有効である可能性があるのです。ただ、1日で時差ボケは治らないので、数日~1週間くらいかかる薬です。

どう使う?

数日かかることが多いこと、予防投与でせん妄を減少させるという報告1)もあることから考えると、この後で触れる「せん妄ハイリスク」の方には、入院時から飲んでもらうのが良いでしょう。たまに速効性がある方もいらっしゃいます。
 
また、1錠だと効きすぎる方もいるので、ほとんどの場合は0.5錠で十分だと思います。もともと補助的な薬なので、傾眠のリスクを背負ってまで増量して効果を狙う必要はないと思います。
 

ポイント 70才以上の入院には早め、早めの予防投与も検討

 


最終更新日2016.3.9



1)Hatta K,et al. Preventive effects of ramelteon on delirium: a randomized placebo-controlled trial. JAMA Psychiatry 2014;71:397-403.
 
参考文献(薬剤共通)
Stephen M. Stahl著 仙波純一,他監訳.ストール精神薬理学エセンシャルズ 第4版、メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2015
神庭重信監修. カプラン精神科薬物ハンドブック第5版、メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2015
長嶺敬彦. 予測して防ぐ抗精神病薬の「身体副作用」、医学書院, 2009
上村恵一 他編.がん患者の精神症状はこう見る抗精神病薬はこう使う:じほう, 2015
David M. Gardner, Ross J..Baldessarini, Paul Waraich. Modern antipsychotic drugs: a critical overview. CMAJ. 2005;172; 13:1703-11.
和田 健. せん妄の臨床 リアルワールドプラクティス. 新興医学出版社, 東京, 2012