2.5薬を使う順番
不眠時指示の暴走を防ぐ
不眠時指示として上記のような定型指示は、一般に多いのではないでしょうか。しかし、BZ作動薬など催眠作用が主体の薬剤単独で使用すると、意識障害を悪化させてせん妄を増悪させる恐れがあり、不適当です。
また、BZ作動薬、抗ヒスタミン薬はせん妄の原因にもなります。入院患者さんが高齢化しており、当院でも6〜7割以上が70才以上となっています。高齢+入院+原疾患(何であれ)だけでもせん妄のリスクは高くなりますから、大部分の入院患者さんにこれらの睡眠薬の指示は不適当となります。
眠くなる薬剤を使うときには
眠くなる薬剤は、このようにせん妄を抑える作用を持つ薬剤を先行投与する必要があります。
フールプルーフせん妄対策では「夜間不眠時」と「夜間せん妄時」の指示を基本的に同一化していますので、BZ作動薬などによる不眠時指示が、せん妄を発生/増悪させることを防ぐことができるように設計されています。
ポイント:眠くなる薬剤の前には、(D2)、(5HT2A)を投与
最終更新日2016.2.29
参考文献(薬剤共通)
Stephen M. Stahl著 仙波純一,他監訳.ストール精神薬理学エセンシャルズ 第4版、メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2015
神庭重信監修. カプラン精神科薬物ハンドブック第5版、メディカル・サイエンス・インターナショナル, 2015
長嶺敬彦. 予測して防ぐ抗精神病薬の「身体副作用」、医学書院, 2009
上村恵一 他編.がん患者の精神症状はこう見る抗精神病薬はこう使う:じほう, 2015
小川朝生: 自信が持てる!せん妄診療はじめの一歩. 羊土社, 2014
David M. Gardner, Ross J..Baldessarini, Paul Waraich. Modern antipsychotic drugs: a critical overview. CMAJ. 2005;172; 13:1703-11.
和田 健. せん妄の臨床 リアルワールドプラクティス. 新興医学出版社, 東京, 2012